あなたも、ブレインフォグ?
あなたは、「ブレインフォグ」という症状をご存じですか?
頭にモヤがかかったようにぼんやりしてしまい、考えたり、集中するのが難しくなってしまう状態のことです。
頭の中に靄がかかったような状態になり、記憶障害や集中力の低下がみられます。
ブレインフォグは、医学用語ではありません。そのため、精神医学のなかでは取り扱われない単語です。
ここ数年これらの症状に悩まされ、なんとか解消しないと仕事もままならないと、困っている方が増えているそうです。
ちなみに「ブレインフォグ」とネットで検索すると、“コロナウイルス感染の後遺症”だと謳っている記事が多数あります。
しかし、「ブレインフォグ」という言葉じたいは、コロナ流行のずっとずっと前から存在しています。
決してコロナ特有の症状ではありません。どうぞご安心ください。
よく見られる主な症状
- 集中しようとするほど、頭がボーっとする
- 考え事をしていると、違う情報が入ってくる
- 物忘れがはげしくなった
- 相手の話が聞けなくなった
- マルチタスクができなくなった
- 会話に適切な単語が思いつかない
- 物事を開始するのに時間がかかる
- 目の焦点が合わない
- イラ立ちを感じる
原因は脳の炎症か?
このブレインフォグ、まだまだ謎に包まれている状態です。その原因は現在のところ研究段階です。
そんな中、最も注目されているのが「ミクログロリア仮説」あるいは「脳の慢性炎症仮説」です。
これはストレスにより、脳内の主な免疫細胞である「ミクログリア細胞」という細胞から、「インターロイキン1」というタンパク質が分泌されて、脳の中で炎症が起こるという説です。
話が発展しますが、うつ病をはじめ、統合失調症などの精神疾患患者では、ミクログリア細胞が過剰にはたらいているという研究結果が次々に報告されています。
また、認知症でも同じように、ミクログリア細胞が過剰に反応し、活性化しているといわれています。
国内の研究では、ストレスを与えてうつ病を起こしたマウスに、ミクログリア細胞のはたらきを邪魔する薬剤を与えたところ、ストレスの影響が弱まり、抗うつ効果が見られたという報告もあります。
今後、ミクログリア細胞をターゲットにした、新しい抗うつ薬が開発されるかもしれません。
ブレインフォグは認知症の前兆?
近年、驚きの研究結果が飛び込んできました。
それは、「このブレインフォグの症状が、広い意味でいう認知症の前症状である可能性が高い」というものです。
可能性は十分にあると、私もこの考えに賛同しております。
なぜかというと、この世に存在するどんな病気もいきなり“病気”にはならないからです。
“癌”で説明しますと、癌と宣告される何年も前から「実はその部位の不調に悩まされていた…」といった事例はよくあること。
例えば、胃がんであれば、胃痛や吐き気、食欲低下。肺がんであれば、呼吸困難や血痰など、といった具合です。
もちろん一部例外もありますが。
このような理由から、当院ではこのブレインフォグを認知症の前段階の症状と捉えています。
将来の認知症予防という壮大な目標をかかげ、施術に取り組んでおります。
「そんな大げさな…」と思われる方もいるかも知れません。
しかし「転ばぬ先の杖」。そんな古くからの格言もあります。
せっかくですから「100歳になっても頭がしっかりしていたい。これはそのための投資なんだ。」と、大きな希望をもち、ご来院ください。
見過ごされてきた、認知症の原因
これからますます高齢化社会になる日本。 認知症の予防や治療は、誰にとっても重大な関心事です。
認知症の種類にはさまざまありますが、代表的なものが「アルツハイマー型認知症」と「脳血管性認知症」です。
- アルツハイマー型認知症
「アミロイドB」というタンパク質が脳にたまり、正常な神経細胞が壊れて脳の萎縮が起こるために発症するといわれています。
しかしアミロイドBが蓄積する原因については、まだ解明されていない部分もあります。
このタイプは知能機能が全体的に低下します。 - 脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血など、脳の血管が破れたり、つまる(梗塞)ことによって起こる認知症です。
1カ所だけの梗塞では発症しにくいのですが、数が増えたり大きくなったりすると、次第に脳の機能が低下し、認知症や運動障害が現れます。
高血圧、糖尿病など、生活習慣病の影響が大きいとされています。
ただ認知症という疾患は、原因の全てが解明されているわけではありません。先ほどお伝えした「ブレインフォグ」と同じですね。
そんな中、最近になって、上記の2パターンの他にもう1つ、見過ごされている認知症の原因があると、研究者の中で言われ始めました。
それが「脳脊髄液の問題」です。
「脳脊髄液」って、何?
といっても、「脳脊髄液」という言葉じたい、初めて聞く方がほとんどかもしれませんね。
脳脊髄液とは、頭蓋骨と脊柱(=背骨)の中にあって、脳と脊髄を守る液体です。 脳脊髄液は、リンパ液のように無色透明です。
脳脊髄液は、一日当たり500ml程度の量がつくられます。そして脳の中を循環し、最後は静脈と脊髄の中を通って吸収されていきます。
脳脊髄液は脳や脊髄を刺激から守り、形を保つため、脳内を常に循環し脳の保護や栄養供給などを行っています。
このため、血液・リンパに次ぐ第三循環と呼ばれています。
脳脊髄液の役割は、脳を「パックに入った豆腐」だとイメージすると、わかりやすいと思います。
豆腐のパックを壁にぶつけても、中に水があるおかげで、豆腐そのものがすぐつぶれてしまうことはありませんよね。
これと同じように、よろけて頭を壁に強く打ちつけたとき、頭蓋骨には衝撃がかかりますが、柔らかい脳が崩れてしまわないのは、脳脊髄液が緩衝剤の役目を果たしているからです。
私たちが生きるうえで、ものすごく大切な体液なんです。